囲いわなによる捕獲では、せっかく群れ全体の餌付けに成功しても、わなに進入するタイミングの違いにより、どうしても捕り逃がしが出てしまうことが問題となっていました。
今回、遠隔監視型捕獲システムを開発したことで、わな内のライブ映像を見ながら、誘引した獲物を捕り逃しなく捕獲できるようになりました。


商品化に係る会議

現地での捕獲実証


システムの開発は、愛媛県と県内メーカー等が連携して取り組み、平成25年より西予市三瓶町、野村町で技術実証を行いました。商品化された平成28年からは、愛媛県が実施する「鳥獣害対策新技術等実証事業」により、県下8カ所での捕獲実証が始まっています。



平成29年度からは、システムで遠隔操作できる自動給餌機の開発が愛媛県農林水産研究所で始まっています。


参考動画(タイトルをクリックください。)
  • 商品化に向けての現地試験
    (西予市野村町)
    システムの設計・開発は、平成25年より取り組まれ、現地での捕獲実証が西予市で取り組まれました。

  • 試作機による初捕獲
    (西予市野村町)
    現場から配信される画素数、コマ数が少ないと獣の判別ができなかったり、獣の動きに対応できません。また、操作時のタイムラグが少ないシステムが開発されました。

  • 「鳥獣害対策新技術 等実証事業」による システムの設置
    (四国中央市土居町)
    商品化された平成28年度からは、県下7カ所でで捕獲実証が始まっています。

  • 開発中の自動給餌機
    (農林水産研究所)
    現在、餌付け用の餌を捕獲システムで現地の映像を見ながら遠隔操作で必要な量だけやれる給餌機の開発に取り組んでいます。

専門家の解説


遠隔監視システムを活用した捕獲技術は、全国でも広くみられるようになりましたが、その効果は地域によって様々です。効果的に運用できている地域に共通するのは、日々の餌付けや管理体制が十分に整備されているという点ですが、それ以外にも、わなの設置場所周辺に十分な対象動物が生息しているという条件があります。

携帯電話等の電波に乗せて映像を飛ばすタイプのシステムでは、携帯電話の電波圏内にわなを設置しなくてはならないという制約があるため、必ずしも対象動物を最も捕獲しやすい場所にわなを設置できるとは限らないのが現状です。また、夜行性の動物では捕獲が進むにつれ、出没する時間帯が遅くなり、管理者にかかる待機の負担が過大になるという問題点もあります。

以上のことから、遠隔監視システムの導入に際しては、当該の地域や対象とする動物種、機材を運用する関係者の実情が、システムの導入に適しているか、十分な検討と精査が必要であると考えます。

なお、自動給餌機の開発については、餌の目詰まりや獲物の誘引状況に応じた餌設置場所の変更などの課題に対する解決状況を示しつつ、本機の導入によりどの程度の労力削減に貢献できるか、具体的な運用手順と合わせて検証を進めていかれることを期待します。